呪いの言葉
「あんたは楽しいことしかしたくないの⁉︎」
これは、私が大学生の時に母から浴びせられた呪いの言葉。
誤解しないでほしいのは、私は今も昔も母のことは大好きで尊敬していて、この言葉1つで関係性が崩れたりしたわけではないということ。
でも、この言葉は、その後数年にわたって私を縛り付けることになる。
正直この言葉を聞いた時、え?楽しいことだけして何がいけないの?と思ったと同時に、そっか、楽しいだけじゃダメなのか、とも思ってしまったんだよね。
だから、仕事は楽しければなんでもいいって思ってたのが、それを口にするのが恥ずかしくなってしまった。
幼稚なことを言っているのだと思い込んでしまった。
でもね、働いてみて初めて本当に分かったんだよ、やっぱり仕事は楽しいにこしたことはないし、面白い方がずっと良い。
わたし、間違ったことを言っていたわけでも思っていたわけでもなかったって。
母からしたら、当時のわたしは毎日遊んで好きなことだけして将来のことなんか考えてなくてやりたくないことはやらないってただわがままを言っていたように見えたのだと思う。
実際、そうだったのかもしれない。
だから、何を意図したわけでもなくあの言葉をわたしに浴びせたのだと思う。
だけど、その言葉は見事にわたしを縛った。
恐ろしいことだね。
もちろん、母の言葉に縛られていたおかげで辞めかけた大学も卒業して、資格もとって、その資格でお金も稼いできたわけだから、感謝もしてる。
だけどね、少なからず楽しいを仕事にしたいと口にすることに後ろめたさを感じるようになったのも事実なのだと思う。
その後、わたしは無事社会に出て、いい大人と呼ばれる歳になったわけだけれども、その経験を通してようやく、声を大にして言えるよ。
わたしは楽しいことしかしたくない!!
お母さんの言っていた通り、楽しいだけじゃ生きていけないね…なんて、これっぽっちも思わなかったよ。
ある程度お金を稼ぐということをして、家を出て自立して、最近ではわたしの方がお母さんの話を整理してものを言うことが増えてきたし、わたしの言葉を必要としてくれるようになった。
それでもわたしの心の中に深く突き刺さったままのあの言葉は、紛れもなく呪いの言葉で、跳ね返す強さを持てたわたしを、わたしは褒めてあげたい。
未だに突き刺さったままなのは、世の中にはそうやって辛い思いをするのが当たり前だと我慢して生きている人たちがたくさんいるからなのだと思う。
そして、同じように呪われている人たちの呪いを解いていきたい。